
こんばんは。気紛れなひとり言の時間です。
今宵も名の無い語り人がお届けいたします。
気が付けば暖かな季節がやってきましたね。
冷えきった心は相変わらず心地良いですか。
無関心で贅沢な小人も穴から出てきました。
日差しを隠して笑ってる雲が清々しいです。
窓を開けたいのに冷たい壁しかありません。
遠くて近くて暗い壁に窓を描いてみました。
どうにも小鳥は鳴いてくれませんでしたよ。
どこから風が吹くのかと目を閉じてみたら、
札束に埋もれた牛が大声で叫んでいました。
私は外に出たいですと尋ねてみたのですが、
端の欠けた皿とナイフを差し出されました。

束の間の休息の時。涙が溢れる私の背後で、
溺れた魚を切り刻む名の無い料理人の誤解。
私に大きな声で笑ってごらんと言いました。
でも耳鳴りが止まないので睨み返しました。
喉が渇きませんか。お洒落したかったのに、
この姿では約束の時間に間に合いませんよ。
吐き出した花びらがヒラリと舞い踊る先で、
曲りくねる鉄の塊でできた扉からすきま風。
静かに壁に描かれたお友達を塗りつぶして、
蝋燭の灯火を消さない様にお別れしました。
思い出は壊れたピストルに詰めてきたので、
羽根を忘れた蝶も曇空を飛べるはずですよ。

何時まで経っても便りは届きませんでした。
逆さから覗いた箱はただのサイコロでした。
最後の一振りの目は誰も知らないのですか。
こっそりとうたた寝しているあなたの隣で、
着ぐるみを脱ぎ捨てメリーゴーランド待ち。
私はただ枯れた木に水を与えるだけでした。
繰り返し回り続ける滑稽な馬車を追い掛け、
虹に恋するお姫様気取りのマネキンですよ。
掴み取れないのは理解しているはずなのに、
仮面の笑顔が取れないのはどうしてですか。
胸の奥が重くて苦しいのはどうしてですか。

ほら傷だらけの眼球を転がして見てごらん。
照れ臭そうに振り返る老いた少女がいるね。
噛み切れないと思ったら牙が折れてました。
鉄の匂いのする不思議な雫を飲み干しても、
砂漠に咲いた誘惑の花は眠りに就かないよ。
飛び出した潤いの無い絡み付く偽りの棘が、
悲劇のヒロインのふりした私を犯してくる。
でも都合良く形を変える景色を跨ぎながら、
天空を見上げて喜ぶ愚かな群衆に応える私。
シワだらけの手を振り続けて首を吊ったら、
土の中でメロディーを奏でる少年がいるよ。

腐った果実を吐き出してユラリと揺れても、
曇り時々雨模様の気持ちの奥は晴れません。
箱に入れたままの大事な約束を捨てたから。
隠し事は夜の終焉までに燃やし尽くすのよ。
縫い合わされた瞳が石ころに変わるまでに、
穴を塞いで種を蒔かないといけないですね。
さあ明日はあなたの花を咲かせてください。
誰も待たない気紛れな約束の始まりですよ。
私は喉が渇いたのでもう一度目を閉じます。
さようなら。またどこかでお会いましょう。