
その日から風向きが変わったらしい。
寝静まったこの街を俯瞰する。
あの瞬間がいつまでも身体に纏わり付いてくる。
その時に右か左かと問われては真ん中を指差す。
まるで砂上の楼閣のごとく美しき矛盾の答え。
夢見心地に辺りを駆け回り気付かない。
手に入れた自由の先にある不自由な世界。
己に必要なものを失う事があの時の誓いである。
この存在の意味を後に語るあなたに捧ぐ。

その日からいつもの風景を失ったらしい。
騒わついたこの街を見上げる。
紡ぎ続けたあの瞬間が解き放たれる。
振り返った先で微笑むあなたに問いかける。
まるで静寂と喧噪が入り交じる儚き矛盾の想い。
夢から覚めた辺り凝視し立ち尽くす。
失った不自由の先に煌めく自由な世界。
あなたに必要なものを奪う事があの時の誓いである。
この存在の意味を後に語れぬあなたに捧ぐ。

もう目を閉じて観る風景が彩られることはない。
すでに飛び込む事を拒絶したのだから。

もう悲しい眼を潤ませて微笑む事はない。
わたしはあなたの糧となり生きていくのだから。

あの日からこの日まで風が止んでいたらしい。
時の流れが土に還るこの街を包み込む。
あの瞬間に感謝し次の瞬間を迎え入れる。
綺麗事を放棄したあなたたちにに問いかける。
まるで仮定を否定し矛盾を証明する空論のように。
見えぬ磁石に引き寄せられるあなたたちが存在する不条理。
求め続ける自由の裏表が同期する世界を望む。
あなたたちの誓いを裏切る事がわたしの誓いである。
この誓いが存在しない事を知らないあなたたちに捧ぐ。